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【アラベスク】  第15章 薄氷の鏡



すごく大雑把な [ あらすじ ]




  年が明けて1月。新学期の始まった唐渓では、小童谷(ひじや)陽翔(はると)が自殺を図ったと囁かれる。原因ではないかと噂される瑠駆真(るくま)を問い詰めて二人の関係を知った美鶴(みつる)には、小童谷の行動が理解できない。好きな人の死を未だに悲しむなど、考えが甘いのだとしか思えない。だが一方では、自分ははたしてどれほど霞流(かすばた)慎二(しんじ)を想っているのだろうかと自問もしてしまう。成り行きで(ゆら)の恋心を知ってしまった美鶴は、屈折はしていても堂々と宣言する彼女の態度に焦慮を感じる。
 自分の恋だって負けてない。意を決して霞流に会うため繁華街で待ち伏せる。寒空の下、一度は突き放されるも、ユンミという人物によって未成年立ち入り禁止の店内に潜り込む美鶴。なんとか霞流に声を掛けようと機を伺い、一人で店の外へ出た彼の後を追うと、その行動を読んでいたかのように背後から霞流が迫ってくる。咄嗟に突き飛ばした勢いで、霞流は頭を強打。状況に混乱する美鶴の背後からユンミの声。警察や救急車を呼ぼうとするユンミの言葉を制する霞流の言葉に従い、二人は彼をユンミの部屋に運ぶ。
 霞流は死ぬかもしれない。そんな言葉をユンミから聞かされ、動揺する美鶴。さらに、薬物の使用を示唆されたり身体で責任を取れと迫ってくる霞流に、美鶴はどうしていいのかわからない。救急車を呼ぼうとする美鶴と、薬物使用の発覚を恐れて反対するユンミと霞流。お前のせいなのだからお前に意見を述べる資格は無いと詰じる霞流の言葉が美鶴を責める。だが、このままでは霞流は死んでしまうかもしれない。
 霞流が無事に回復したら、その時は霞流の言われる通りにしよう。そう覚悟を決めて救急車を呼ぼうとする美鶴。だが、そんな彼女の姿に霞流は冷笑する。とりあえずは俺の満足するような行動を取ったなどと悪びれもせずに笑いながら、絵の具で汚れた包帯を外す。すべてが霞流の演技で自分は騙されていたのだと知り、呆然とする美鶴。だがそれでも、霞流が無事である事に安堵する自分を感じる。
 自分はまだまだ幼いな。好きな人を失う恐怖に、死というものを甘く考えていたのは自分の方なのではないかと思い知らされ、同時に、霞流に対しての自分の想いもまだまだ中途半端だったと自覚させられた美鶴は、もう迷わないときっぱり決意。突き放されても霞流を追い掛ける覚悟を決める。
 しおらしく引き下がるかと思っていた霞流は、思わぬ展開にうんざり。繁華街の路地裏で厭味の応酬を展開する二人のそばに突然飛び出してきた一匹の猫。追い掛けるハメになった二人が辿り着いた先で出会ったのは、ツバサの兄である涼木(すずき)魁流(かいる)だった。なぜ彼がこんなところに?
 季節はバレンタイン目前。知らずに意識してしまうのは男子も女子も同じ事。(さとし)瑠駆真(るくま)も緩もツバサも。そして美鶴も、里奈(りな)も。それぞれが己の恋心を掛けて動き出す気配。またまた波乱の予感です。







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